コンパクトシティとは
一般的に、①高密度で近接した開発形態 ②地域のサービスや職場・学校までの移動の容易さ ③公共交通機関でつながった市街地 という特徴を有した都市構造のことである。
通勤通学・買い物・市役所等の行政サービス・医療機関など、普段の生活上で必要となる機能を一定の範囲内に集約することで効率的な生活を目指すことを目的としています。
また、コンパクトシティ政策を採用する日本の自治体は、同政策によってインフラ整備・維持管理を効率化することを目的としている。
なぜコンパクトシティが必要なのか?
高度経済成長や人口増加の影響により、郊外に向かって市街地が拡大。また行政などによる具体的な都市計画がないまま、建設・都市開発業者による無秩序な開発が行われた為、人々は首都圏郊外に移り住み、都市部が空洞化するスプロール現象が問題となっている。
日本におけるコンパクトシティ政策は人口減少や高齢化社会を前提としたものといえる。
コンパクトシティのメリット
・コミュニティの活性化
人口密度を高めることで生活圏が集約し、多世代間交流が活発となり、地域コミュニティの
形成や地域活動が活性化する。
・行政サービスの充実
市域がコンパクトになることで、行政サービスを充実させやすくなり、居住エリアを集中させることで学校・出張所・公共施設などが少数で良くなる。
子育て支援や高齢者対応設備等の支援も充実できる。
地域の乗り合いバスにおいても、エリアが限られれば、本数を増やすことができ、より機能しやすくなる。
・移動時間の短縮
通勤・通学をはじめとした移動時間が大幅に削減されることで、
住民の生活が効率化され、自動車・バイク等による二酸化炭素の排出量の削減や道路整備のコスト削減により、環境問題を改善することが出来る。
コンパクトシティのデメリット
・人口が集中することで、現在の東京のように、感染症や地震・津波等の非常時の対応・対策が取りにくい。
・中心市街地では人口が増え、それに伴い治安の悪化や交通渋滞・騒音などの住環境の悪化が再び生まれます。そのため、導入地域では、自転車での通勤・通学・レンタサイクルの促進を行なっている。
・中心市街地と郊外の地価格差が大きくなり、郊外の居住者は土地の資産価値が減少。結果として、資金面の問題から中心地へ移り住むことも困難な状況になる恐れがある。
そのため、政策実現には、住民への配慮と資金的サポートも必要となる。
・郊外に住むすべての住民を中心地へ移動させることはできないため、コンパクトシティ政策が進むにつれて、郊外のサービスや生活環境が悪化する。
日本におけるコンパクトシティ政策事例
熊本市
多核連携都市を目指し都市づくりに取り組んでおり、人口減少・高齢化社会においても、暮らしやすい都市環境を整備し、都市としての魅力や活力を維持することを目的としている。熊本駅周辺の中心市街地を全体の拠点とし、その周辺を広域的な地域拠点として、行政サービス・商業・医療サービスを整備すること。その中心市街地と地域拠点を利便性の高い公共交通機関(トラム)等で結ぶことで、中心地への一極集中を防ぎ、各地域の人口密度を保ちつつ、子どもからお年寄りまで移動しやすく安心して暮らせるまちづくりを目指した取り組みを行なっている。
大分市
大分駅をリニューアルし複合商業施設を併設した。以前は駅の南北で都市が分断していたが、JR大分駅の高架化を行い周辺の基盤整備を実施し、分断を解消し駅周辺エリアの利用価値を高め、駅を中心に南北一体となったコンパクトで分かりやすい都市設計を行なっている。大分駅では様々なイベントが開催され、盛り上がりを見せている。これにより、人口流出が減り、少しづつではあるが街に若者が戻ってくるなどの効果をみせている。